世界で最も広く通じる言葉の一つ、OK。よく考えると変です。「すべて良し」を意味する all correct の頭文字なら、A.C.になるはず。なぜO.K.なのでしょうか。
答えは、1839年3月23日のボストン・モーニング・ポスト紙にあります。当時のボストンの若い知識層では、「わざと綴りを間違えた言葉を、その頭文字で略す」という言葉遊びが大流行していました。all right を oll wright とわざと誤記して「O.W.」、no go を know go として「K.G.」といった具合です。その流れで、編集長のチャールズ・ゴードン・グリーンさんがライバル紙をからかう記事の中で使ったのが、all correct をわざと oll korrect と綴った「o.k.」でした。しかも初出の紙面では、読者に通じない自覚があったのか、o.k.の直後にご丁寧に「all correct」と注釈まで付いています。この言葉遊びで生まれた略語はほとんどが死語になりましたが、OKだけが唯一生き残りました。
ちょうど1年後、大統領選挙に拾われた
内輪のダジャレだったOKを全国区にしたのは、翌1840年の大統領選挙です。再選を目指すマーティン・ヴァン・ビューレン候補は、ニューヨーク州キンダーフック出身で、愛称は「オールド・キンダーフック」。頭文字はO.K.です。支持者たちは「O.K.クラブ」を結成し、「OK=オールド・キンダーフック=すべて良し」というダブルミーニングのスローガンとして使い倒しました。この初出とされる新聞告知の日付は1840年3月23日。OK誕生のちょうど1年後の同じ日付だったといわれています。選挙自体はヴァン・ビューレンの落選に終わりましたが、候補者は落ちて、言葉だけが当選したわけです。
この駄洒落の出どころを、教授が22年かけて突き止めた
意外なことに、この経緯が判明したのは意外と最近です。コロンビア大学の英語学者アレン・ウォーカー・リードさんが、1941年にまず選挙由来説を提示し、その22年後の1963年、ボストンの古新聞を精読して1839年の初出記事を発見しました。それまでは、アンドリュー・ジャクソン大統領が綴りを間違えた説(実は1840年選挙時の捏造ネガキャンが出どころで、証拠とされた1790年の裁判記録もO.R.の誤読とリードさんが実証)や、チョクトー語の肯定辞「okeh」由来説などが有力視され、なんと1960年代初頭まで複数の主要な英語辞書がチョクトー語説を載せていました。ウッドロウ・ウィルソン大統領にいたっては、この説を信じて書類の承認に「Okeh」と書いていたそうです。
ちなみに1969年のアポロ11号。月着陸の瞬間の交信記録にはOkayが登場し、アームストロング船長が「人類にとって偉大な一歩」を踏み出す直前の言葉も「Okay. 今から降りる」でした。ボストンの寒い内輪ダジャレは、130年後、月まで届いていたことになります。
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参考にした情報源: en.wikipedia.org


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