フォーチュンクッキーは、中国ではほぼ知られていない菓子だった

歴史・文化

アメリカの中華料理店では定番のフォーチュンクッキー。ところが肝心の中国では、ほとんど知られていません。上海に開業したアメリカ式中華料理店「フォーチュンクッキー」は、当初は欧米人客が中心でしたが、1年半後には客の半分が地元の中国人になったといいます。ドラマの影響で「アメリカ風中華」に興味を持った人たちでした。中国から見れば、フォーチュンクッキーはむしろ「逆輸入」の珍しい食べ物なんです。

実際の起源は、中国ではなく日本にあります。おみくじを挟んだ煎餅「辻占煎餅」の伝統は江戸時代からあり、金沢などに残っていました。アメリカでは、サンフランシスコの日本茶園を管理していた萩原眞さん、ロサンゼルスの菓子店「風月堂」を営んでいた岸田禧一さん、同じくロサンゼルスの「梅屋」を創業した濱野安雄さんら、複数の日系移民が、それぞれ独立しておみくじ入りの菓子をアメリカで提供し始めたとされています。

戦争が、業界そのものを塗り替えた

ところが1942年、大統領令によって日系人の強制収容が始まると、これらの菓子店は軒並み営業停止に追い込まれます。梅屋は収容所に移された後も、なんとコロラド州デンバーで製造を再開し、収容された日系人たちに伝統の菓子を届け続けました。戦後、ロサンゼルスに戻って事業を再建しますが、2017年に静かに廃業しています。一方、強制収容の対象にならなかった中国系の業者たちが空いた市場を埋め、生産規模を拡大していきました。「フォーチュンクッキー=中華料理店の定番」というイメージは、こうして後づけで定着したものだったんです。

起源論争は、模擬裁判にまでなった

1983年、サンフランシスコとロサンゼルスのどちらが発祥かをめぐり、「歴史検証法廷」という非公式の模擬裁判機関が審理を行い、実在の連邦判事がサンフランシスコ側の勝訴を言い渡しています。今も決着したとは言い難い、ゆるやかな論争が続いているようです。

ちなみに2005年、アメリカの宝くじパワーボールで、本来なら2等当選者は4〜5人程度のはずが、なんと110人が同時に2等を当てるという珍事が起きました。当選者たちが選んだ数字の組み合わせは、全米各地の同じ工場で作られたフォーチュンクッキーの「ラッキーナンバー」から取ったもの。今も、思わぬところでアメリカ人の生活に食い込んでいる菓子のようです。


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参考にした情報源: en.wikipedia.org

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