アラスカの空に浮かぶ「幻の都市」の正体

歴史・文化

19世紀の終わり、アラスカの氷河の上空に、突然『巨大な都市』が浮かび上がる——そんな噂が人々を騒がせました。ミュア氷河の上に、塔や建物の連なりが見えるというのです。『サイレントシティ(沈黙の都市)』と呼ばれたこの幻は、当時の探検家たちの間で語り草になりました。

正体の一つは、おそらく蜃気楼です。冷たい空気と暖かい空気の層が光を曲げ、遠くの景色を空中に映し出す現象は、極地ではしばしば起こります。

けれど話には、はっきりとした『オチ』もありました。1888年、探鉱者のディック・ウィロビーが『サイレントシティを撮影した』という写真を売り出し、評判になります。ところが後にこの写真は、イギリスの都市ブリストルを写したものを焼き直しただけの作り物だと判明したのです。

自然の不思議と、人の作り話。幻の都市は、そのどちらもが折り重なって生まれた伝説でした。空に都市を見たいという気持ちが、蜃気楼を物語に変えていったのかもしれません。


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