電話に出るときの「もしもし」。電話のために生まれた言葉だと思われがちですが、じつは違います。この言葉、電話が日本に来るよりずっと前から使われていました。
確認できる最も古い用例は1591年。キリシタン版の書物に、ローマ字で「moximoxi」と綴られて出てきます。戦国時代です。日本で電話の交換業務が始まるのは1890年、東京と横浜のあいだ。つまり299年の差があります。新しく作られた言葉ではなく、もとからあった呼びかけが、電話の第一声に採用されたわけですね。
語源もよく誤解されます。「申し上げます」の略ではありません。辞書が記すのは「申し申し(もうしもうし)」の変化、つまり「申す」の連用形を重ねた呼びかけです。
「おいおい」と言えなかった人たち
面白いのは、広まり方です。当時の記録では、男性は「おいおい」、女性は「もしもし」と呼びかけていました。そして開業当時の交換手は、昼の時間帯を女性が担当していたんです。昼間に電話をかけた人が耳にするのは「もしもし」。これが新鮮な言葉として広まった、という筋書きが有力です。
誰が言い出したのかは、はっきりしません。逓信省の役人が考案したという説、女性交換手たちが相談して決めたという説、アメリカ視察で「Hello」の代わりを考えたという説。国立国会図書館の調査でも、複数の説が並んだままです。
ちなみに英語の「Hello」も、電話用に作られた言葉ではありません。印刷物での初出は1827年で、電話の発明より49年早い。エジソンが1877年の手紙で電話の第一声に推し、発明者ベルのほうは船乗りの言葉「Ahoy」を使っていたと伝えられます。日米そろって、電話の第一声は発明されたのではなく、拾われたものだったんですね。
なお「二回続けて言うのは、妖怪は一声しかかけないから」という話。よく聞きますが、これは山での呼びかけに関する民間伝承が後から結びついたもので、辞書の語源説明に妖怪は出てきません。
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参考にした情報源: kotobank.jp


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