同じ悲鳴が70年間、何百本もの映画で使い回されている

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映画で誰かが撃たれたり、崖から落ちたりする場面。実はハリウッドには、70年以上にわたって使い回され続けている「一つの悲鳴」があります。通称「ウィルヘルムの叫び」。一度知ってしまうと、映画を見るたびに耳が探し始める、有名な効果音です。

初出は1951年、ゲイリー・クーパー主演の西部劇『遠い太鼓』。兵士がワニに噛まれて水中に引きずり込まれるシーンのため、悲鳴が別録りされました。当時のワーナー・ブラザースは効果音の制作コストを抑えるため、この悲鳴を自社のストック音源に登録し、以後の映画で繰り返し使います。「ウィルヘルム」という名前は、1953年の映画『The Charge at Feather River』で、矢に射られて叫ぶウィルヘルム二等兵に流用されたことに由来します。ちなみにこの映画、矢や槍が観客に向かって飛んでくる演出が売りの3D映画でした。

ワニのラベルから発掘した男

忘れられかけていたこの悲鳴を復活させたのは、『スター・ウォーズ』(1977年)の音響デザイナー、ベン・バートさんです。ワーナーの音源ライブラリで「ワニに食われる男」というラベルのリールを発掘し、ルークに撃たれて縦坑に落ちるストームトルーパーの悲鳴に使用。以来、インディ・ジョーンズシリーズなど自分が関わる作品に「個人的な署名」のように忍ばせ続け、音響業界の内輪ジョークとして広まっていきました。ファンの集計では、映画・ドラマ・ゲームを合わせて400本以上で使われたともいわれます(公式な集計は存在しません)。声の主は、俳優・歌手のシェブ・ウーリーさんが有力候補とされていますが、録音セッションの記録と未亡人の証言という状況証拠止まりで、確定はしていません。

本家は引退させ、原盤は全人類のものになった

面白いのは近年の展開です。スター・ウォーズ映画では2015年の『フォースの覚醒』を最後にこの悲鳴の使用をやめ、2018年に音響担当者が「過去は死なせる」と引退を公表しました。後継の悲鳴は「ザ・ジョージ」と呼ばれ、報道によればジョージ・ルーカス本人が1973年に録音した悲鳴だそうです(公式には確認されていません)。

そして2023年、オリジナルの録音セッションのテープそのものが、大学に保管されていた音源群の中から再発見されました。39秒のセッションには、最初のテイクに対して「そうじゃない、本物の痛みの悲鳴を」とダメ出しする監督側の声まで入っています。この原盤、現在はパブリックドメインとして音源サイトで公開されており、誰でも無料で聴けます。ハリウッドの内輪ジョークだった悲鳴は、72年かけて、全人類のものになったわけです。


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参考にした情報源: en.wikipedia.org

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