スヌーズの「9分」に理由はないのに、日本人の実測は9.2分だった

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目覚まし時計のスヌーズボタン、多くの人が「なぜか9分刻みだ」と感じたことがあるはずです。よく語られる説明はこうです。「1956年、ゼネラル・エレクトリック社が世界初のスヌーズ機能付き時計を作ったとき、内部の歯車の噛み合わせの都合で、9分という半端な数字に落ち着いた」。もっともらしい話ですが、調べてみると、この説明を裏付ける一次資料はほとんど見つかりません。

1956年に発売されたその時計は「Snooz-Alarm」という製品名で、GE社の時計部門テレクロンが作ったことは確かです。ただし「歯車の都合で意図的に9分を選んだ」と説明する当時の社内文書や特許は見当たりません。それどころか、当時の実機をヴィンテージ時計の収集家が調べたところ、発売当初のスヌーズ時間は9分ではなく、15分から17分ほどだったという報告があります。「最初から9分だった」という前提自体が、そもそも揺らいでいるんです。

今も「9分」で統一されているわけではない

実際、スヌーズの長さはメーカーや時代でばらばらでした。1959年発売のウェストクロックス社「Drowse」は、ボタンの左右どちらを押すかで5分か10分を選べる仕様。現在のAndroidの公式デフォルトも、9分ではなく10分です。長年9分固定だったiPhoneも、最近のアップデートで1分から15分まで自由に設定できるようになりました。「スヌーズといえば9分」というイメージ自体、少しずつ過去のものになりつつあります。

それでも、実測データは9.2分だった

ところが2025年、ハーバード大学医学部の研究者と睡眠アプリ企業が共同で、21,222人・約300万件分の実際の睡眠データを分析した論文が発表されました。国ごとの平均スヌーズ時間を比べたところ、アメリカやスウェーデンは長め、日本とオーストラリアは世界で最も短い部類だったのですが、その日本の平均値が、なんと9.2分。歯車の噛み合わせという神話には根拠が見当たらなかったのに、令和のビッグデータから、ほぼ同じ数字が偶然浮かび上がってきたわけです。

ちなみに、広島大学の研究チームが行った睡眠実験では、スヌーズを使って何度も起きたり眠ったりを繰り返すと、一度で起きるより寝起きのぼんやりした状態がかえって長引く、という結果も出ています。もう少し眠れる、はずのスヌーズが、実は寝覚めをよくしていないかもしれません。


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参考にした情報源: pmc.ncbi.nlm.nih.gov

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