床に落とした食べ物も、5秒以内に拾えば大丈夫。そんな言い訳、誰もが一度は使ったことがあるかもしれません。この「5秒ルール」、始まりは2003年、イリノイ大学の高校生インターン、ジリアン・クラークさんによる、査読も経ていない自由研究でした。キャンパス内の実際の床を調べると菌は意外と少なかった一方、あえて汚染した面に置いた実験では、5秒未満で菌が食品に移ることが分かったんです。この研究、2004年にイグノーベル賞(公衆衛生部門)を受賞しています。
本物のサルモネラ菌で、本格検証へ
ここから話が大きくなります。2007年、クレムソン大学のポール・ドーソンさんらが、実際にサルモネラ菌を使った査読付き論文を発表しました。タイル・木材・カーペットに菌をつけ、食品への転移率を測定したところ、タイルとの接触わずか5秒で、ソーセージへの転移率は99%を超えていたんです。しかもこの菌、乾いたタイルの表面で最大4週間も生き続けていました。
2016年、合計2560回の実験
決定版とされているのが、2016年のラトガース大学の研究です。ロビン・ミランダさんとドナルド・シャフナーさんは、4種類の床材(ステンレス・タイル・木材・カーペット)と4種類の食品(スイカ・食パン・バター付きパン・グミキャンディ)、4段階の接触時間、これを20回ずつ繰り返す、合計2560通りの測定を行いました。結果、接触時間が1秒に満たなくても菌は移ることが判明。「5秒」という数字そのものに科学的根拠はない、という結論に至っています。
それでも、「接触時間が長いほど菌が多く移る」という傾向自体は、統計的に本当でした。ただし時間よりもずっと大きな影響を持っていたのが、床材の種類と食品の水分量です。タイルやステンレスのような硬く滑らかな面は菌が移りやすく、カーペットのような繊維状の面は比較的移りにくい。そしてスイカのように水分の多い食品は、乾いたグミキャンディよりずっと多くの菌を拾います。本当に気をつけるべきは、拾うまでの秒数より、タイルの上に落ちた濡れた食べ物のほうだったようです。
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参考にした情報源: journals.asm.org


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