テレビの笑い声を作った男は、中身を誰にも見せなかった

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シットコムでおなじみの、あの笑い声。実は多くの場合、その場にいた観客の生の反応ではなく、後から人工的に足された録音です。仕掛け人は、CBSの音響技師だったチャーリー・ダグラスさん。生放送のスタジオ観客の笑い声は、下品すぎたり、タイミングがずれたり、長さがバラバラだったりする。そこでダグラスさんは、収録後に笑い声を足したり削ったりして調整する手法を編み出しました。

1953年に完成させた装置は、正式名称「観客反応複製機」、通称「ラフボックス」。オルガンのような操作盤で、タイプライター式の鍵盤で笑い声の種類・性別・年代を選び、フットペダルで長さや立ち上がりを調整する仕組みでした。中には32本のテープループ、それぞれ10種類、合計320種類もの笑い声が収録されていたと伝えられています。

中身は、家族以外誰も見たことがなかった

この装置、南京錠がかけられ、家族以外は誰も中を見たことがなかったといいます。1966年、業界誌TVガイドがダグラスさんを取り上げた記事のタイトルは「ハリウッドのスフィンクス」。彼について話すこと自体が、まるでマフィアの話をするようなタブーだった、とも紹介されています。録音された笑い声の出どころについては、無言芸で観客の反応だけがクリアに録れる『レッド・スケルトン・ショー』のパントマイムコーナーが使われたという記録がある一方、「マルセル・マルソーの公演から録音した」という話もよく語られますが、こちらは裏付けが取れていません。

倉庫オークションから出てきた、幻の実機

ダグラスさんは2003年に93歳で亡くなり、装置の詳しい中身は謎のまま――と思われていました。ところが2010年、アメリカの鑑定番組で驚きの展開が起こります。ある人物が650ドルで落札した保管用倉庫の中に、南京錠つきの黒い箱があり、最初は価値がないと捨てかけたそうです。調べてみると、これが1953年製、ダグラス本人のラフボックス実機。鑑定額はなんと1万ドル。同じ倉庫には、1953年から『Cheers』に至るまでの使用記録を綴った、本人直筆の業務日誌まで残されていました。

現在も観客を入れて収録するマルチカメラ形式のシットコムでは、この手法は健在です。一方、『ザ・オフィス』のようなカメラ1台のシングルカメラ形式では、笑い声を入れないのが定着しています。チャールズ・シュルツは『チャーリー・ブラウンのメリークリスマス』で、『M★A★S★H』の製作陣は手術シーンで、それぞれ笑い声の使用を拒んだという逸話も残っています。


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参考にした情報源: en.wikipedia.org

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