あの音の「オリジナル」は、もう存在しない

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映画館で本編が始まる前、あの音が鳴りますよね。バラバラのうなりがじわじわ集まって、最後に地鳴りのような和音になる、THXの音です。じつはあの音の「オリジナル」は、もうこの世に残っていません。

作ったのはジェームズ・ムーアーさん。当時ルーカスフィルムにいた研究者です。1983年の『スター・ウォーズ/ジェダイの帰還』で初めて使われました。注文は驚くほどざっくりしていて、「何もないところから出てきて、とにかくデカくなるやつ」。

面白いのは、これが楽器の演奏ではないこと。ムーアーさんは、コンピュータのプログラムに音そのものを作らせました。声の数は30。芸術的なこだわりではなく、当時の機械がリアルタイムで出せる限界が、ちょうど30だったんです。音色の素はチェロの録音ですが、弓が弦に当たる出だしを削ってあるので、聴いてもチェロとは分かりません。

サイコロの目が、時計だった

30の声には、1秒で一巡するペースで「次はこの高さ、この大きさ」とデタラメな指示が配られます。そのデタラメの種を、プログラムは実行した瞬間の日付と時刻から取っていました。つまり、走らせるたびに違う演奏になる。

公開の1週間後、ルーカスフィルムはそのマスターを紛失します。もう一度作ればいい——そう応じたムーアーさんは、そこで気づきました。同じ時刻は、二度と来ない。何度も回して一番近いものを選び直しましたが、本人いわく「それでも最初ほど低音は強くなかった。まあ、これでいいことにした」。私たちが40年以上聴いてきたのは、その代役のほうなんです。

ちなみにこのプログラム、たった4日で書かれました。本人は昔「2万行あった」と語ったものの、後にきっぱり訂正しています。「4日で2万行も動くコードを書ける腕はない」。実際は300行ほどでした。


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参考にした情報源: jamminpower.org

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