虹を見ながら、隣にいる友達と「きれいだね」と言い合ったことがあるかもしれません。でも実はそのとき、2人は同じものを見ていません。厳密に言うと、隣り合って立つ2人が「同じ虹」を見ることは、原理的にできないんです。
虹は、空のどこかに実在する「物」ではありません。太陽と正反対の方向(対日点)を中心に、自分の目から見てちょうど42度前後の角度にある雨粒だけが、光を屈折・反射させてこちらに送り返してくる。その条件を満たす雨粒の集合が作る、いわば「見え方」です。専門家のサイトの表現を借りれば、観測者一人ひとりが、自分の目を頂点とした「自分だけの円錐」を持っていて、その円錐の表面にある雨粒だけを見ている。少し離れて立つだけで目の位置が変わり、条件を満たす雨粒の組み合わせもまるごと変わります。だから隣の人は、あなたとは違う雨粒からの光を見ている、つまり別の虹を見ているわけです。
自分の両目でさえ、違う虹を見ている
この理屈をさらに突き詰めると、あなた自身の右目と左目でも、厳密には別々の虹が見えていることになるそうです。普段は目と目の間隔がわずか数センチしかないため、その違いに気づくことはまずありません。ただ、庭のホースで水しぶきを近くに作って虹を観察するような場合には、実際に両目でずれた虹が見えることがあるといいます。
ちなみに角度についても、少し補足しておきます。主虹はだいたい40〜42度、外側が赤、内側が紫。副虹はその外側、50〜53度あたりに現れ、主虹とは逆に赤が内側にきます。色の並びが逆に紹介されていることもありますが、正しくは主虹は赤が外側です。
虹の端にたどり着けない、本当の理由
子供の頃、「虹の根元まで行けば宝物がある」なんて話を聞いたことはないでしょうか。虹に近づいても、いつまでも同じ距離だけ離れて見え続けるのは、当然の話です。虹に決まった場所や大きさはなく、観測者との角度関係だけで決まる見え方だからです。歩けば対日点も一緒に動き、条件を満たす雨粒の組み合わせもそのたびに入れ替わる。だから虹は、追いかける人と同じ速さで、いつまでも同じだけ遠ざかり続けるんです。
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参考にした情報源: apod.nasa.gov


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