アイルランドのダブリン郊外、モンペリエ・ヒルという丘の頂上に、ちょっと変わった建物があります。石造りの荒廃したロッジなのですが、その屋根は特徴的なアーチ型。晴れた日にはダブリン市街の素晴らしい眺めが楽しめる場所なのですが、ここには18世紀、ある秘密結社が暗躍したという伝説が残っているんです。
それが「ヘルファイア・クラブ」の遺跡。1725年に、当時アイルランド下院議長を務めていたウィリアム・コノリーが、狩猟用のロッジとして建てたのが始まりでした。でも、コノリー氏が亡くなった後、この建物は1729年に売却され、その後、悪名高い「ヘルファイア・クラブ」の集会所になったと言われています。
このクラブ、メンバーは「ダブリンの若きバックス」と呼ばれ、泥酔やギャンブルに明け暮れていたとか。「スカルシーン」という、熱いバターとウィスキーを混ぜた強烈な飲み物を片手に、当時の社会を scandalize するような派手な行動を繰り返していたらしいんです。クラブの会長は「地獄の王」と呼ばれ、サタンのような格好をして、会合では悪魔のために特別な席を用意していたなんて話もあります。
さらに驚くべきは、このロッジが建てられた場所。元々、紀元前3500年頃のネオリシック時代の横穴式石室墓があった場所だったんです。その石材を流用してロッジが建てられたことが、建物の超常現象との関連の始まりだとされています。屋根が嵐で吹き飛ばされたのも、埋葬地を壊したことへの「悪魔の仕業」だと信じられていたそうですよ。
最近の考古学調査では、この遺跡の南側から、石器時代の芸術が刻まれた石が見つかっています。これは、古代の埋葬地が、18世紀の秘密結社の舞台へと姿を変えた、なんとも不思議な歴史の証拠と言えるかもしれません。
さて、この遺跡は、今でも多くの人が訪れるハイキングスポットになっています。丘の頂上から見える景色は開放的ですが、そこに立つと、かつての秘密の宴のざわめきが聞こえてくるような、不思議な感覚に包まれるかもしれません。個人的には、古代の墓石が、悪魔の宴会場に転用されたという事実が、なんともロマンチックというか、背筋が寒くなるような気分になります。
ただ、こうした伝説の裏には、当時の社会への不満や、型破りな行動への憧れがあったのかもしれません。18世紀のダブリンでは、一体どんな「宴」が開かれていたのでしょうか。
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