点字は軍の暗号から生まれた、という作り話

歴史・文化

点字の由来として、こんな話が語られてきました。ナポレオン軍の将校が、暗闇で命令を読むために考えた暗号があった。それを盲学校の少年ルイ・ブライユが作り変えて点字になった——。よくできた物語ですが、近年の研究で土台が崩れています。

元になった方式を作ったのは、シャルル・バルビエという人物です。たしかに軍歴はありました。ただ大尉だった期間は、1792年5月18日から20日までの2日間。しかも革命期にフランスを離れており、ナポレオンの軍に戻ってはいません。

さらに肝心なのが目的です。2021年に発表された研究が、彼の1815年の著書を読み直しました。そこで彼自身が書いていたのは、この浮き出た点の書き方を目の見えない人のために考えた、ということでした。軍の暗号を転用したのではなく、最初からその用途だったわけです。

15歳が解いた、指の問題

もっとも、バルビエの方式には実用上の壁がありました。点が縦2列・横6段の12点で、指先で一度に触れられない。しかも音を写す仕組みなので、正確な綴りも句読点も書けませんでした。

1821年、彼は道具と説明書を、パリの王立盲青年学校へ送ります。そこにいたのが、3歳のとき父の作業場で目を傷つけ、5歳までに視力を失っていたルイ・ブライユでした。彼は点を6点に減らし、指先ひとつで一度に読み取れる大きさに収めます。1824年、15歳のときでした。

普及は遅れました。学校の方針で一時は課程から外され、公式に採用されたのは1854年。ブライユが亡くなった2年後のことです。

ちなみに、二人が対立したという話も事実ではありません。バルビエは1833年に少年の仕事を知り、その働きに敬意を記しています。神話の出どころは、両者の死後に書かれた学校側の物語だったと指摘されています。


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参考にした情報源: en.wikipedia.org

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