青い光だけが、30年間つくれなかった

科学

いま部屋を照らしているLED照明。あれが実現するまで、ひとつの色だけが立ちはだかっていました。青です。

赤と緑のLEDは1950年代の終わりから半世紀近く前から存在していました。ところが白い光を作るには、赤・緑・青の三色が要ります。青がないと、照明にならない。ノーベル財団の言葉を借りれば、青は30年にわたる難題であり続けました。窒化ガリウムという材料で良い結晶を育てるのは絶望的な試みと見なされ、電気を流すのに必要な層を作ることも事実上不可能とされていたんです。多くの研究者は、別の材料に賭けていました。

三人が、別々のやり方で解いた

2014年のノーベル物理学賞は、赤崎勇さん、天野浩さん、中村修二さんに贈られました。授賞理由は「明るく省エネな白色光源を可能にした、高効率な青色発光ダイオードの発明」。

解き方は同じではありませんでした。名古屋大学の赤崎さんと天野さんは1986年、サファイアの土台と結晶のあいだに窒化アルミの薄い層を挟むことで、質のよい結晶を得ます。一方、徳島の日亜化学にいた中村さんは1990年、同じ「挟む」でも材料の違う層で同じ壁を越えました。さらに、なぜ先行研究がうまくいったのかを突き止め、電子線の代わりに熱で処理する簡便な方法にたどり着きます。1993年、高輝度の青色LEDが世に出ました。

ここで面白いのは、中村さんがそのとき博士号をまだ持っていなかったことです。学位を取ったのは翌1994年。世界中の大企業と大学が30年解けなかった問題を、地方の化学会社の一技術者が解いたわけですね。

後日談も日本の産業史に残りました。この発明の対価をめぐる裁判で、東京地裁は2004年、発明の価値を約604億円と算定します。社内規程による報奨は2万円だったと伝えられています。最終的には2005年、約8億4000万円で和解しました。この一件が、職務発明のルールそのものを書き換えていきます。


関連記事


参考にした情報源: nobelprize.org

コメント

タイトルとURLをコピーしました