初代ウォークマンは、二人で聴く機械だった

テクノロジー

一人で音楽に浸る——ウォークマンは、そういう文化の象徴として語られます。ところが1979年に出た初代機「TPS-L2」を見ると、少し話が違うんです。イヤホンの差込口が、2つあります。

それだけではありません。本体には「ホットライン」というボタンが付いていました。押している間だけ音楽の音量が下がり、内蔵のマイクが働く。つまりヘッドホンを外さずに、隣の相手と話せたんです。初期の製品では、2つの差込口に「A」「B」ではなく「GUYS & DOLLS」と刻まれていました。二人で聴いてください、という意味ですね。

妻の、憮然とした顔

なぜそんな設計にしたのか。理由を書き残しているのは、当時会長だった盛田昭夫さんです。自宅で試作機を一人で聴いていたら、そばにいた妻が実に憮然とした顔をしていた。それで差込口を2つにさせた、と。会話ができなくて不便だった経験から、マイクとスイッチも付けさせたそうです。

そもそもの発端は、名誉会長の井深大さんでした。出張の機内でステレオ音楽を聴きたいのに、当時の小型録音機は重くてかなわない。そこで小型機を改造させたのが始まりだった、とソニーは説明しています。ただし社内では反対もありました。録音できない再生専用機など売れない、というわけです。値段も、原価から計算すれば4万円台にすべきところを、盛田さんが売れる値段として33,000円に決めました。「俺が会長の首を賭ける」とまで言ったと伝えられます。

ふたを開けると、発売1か月の販売は約3,000台と低調でした。それが口コミで火がつき、初回生産の3万台は夏のうちに売り切れます。面白いのはその後で、2つ目の差込口もホットラインも、次の世代からは消えていきました。一人で聴く道具になったのは、作り手の狙いではなく、使う人が選んだ結果だったわけですね。


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参考にした情報源: note.com

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