ベイマックスとmRNA医療、空想に近づく現実

テクノロジー

「ビッグ・ヒーロー6」に登場するケアロボット、ベイマックス。その丸い姿に惹かれたファンの一人が、「もしベイマックスが、mRNAレベルで体を見張り、ナノマシンで治してくれる存在だったら」と想像をふくらませて、Redditに投稿しました。

念のため言っておくと、これはディズニーやMarvelの公式設定ではなく、ファンのアイデアです。実際のベイマックスは、2014年の映画では兄タダシが作った「空気でふくらむビニール製の看護ロボット」で(原作のMarvelコミックでは護衛ロボット)、mRNAやナノボットで治療する機能はありません。映画に出てくる小さなロボットの群れ(マイクロボット)も、悪役が奪って武器にしたもので、ベイマックス本体とは別物です。それでもこの空想が面白いのは、現実の医療がいま、少しずつそこへ近づいているからです。

mRNAワクチンが当たり前になった今、「体の中で薬を作る」という発想は、もうSFだけのものではありません。ただし実際に進んでいるのは、自分で泳ぎ回るナノロボットではなく、カプセルのような微粒子(脂質ナノ粒子)でmRNAを必要な場所に届ける方法です。自律的に動く医療ナノロボットは、まだ動物実験の段階。それでもいつか、体内のmRNAを直接いじって、病気のもとになるタンパク質を減らしたり、治療用のタンパク質を作らせたりできる日が来るかもしれません。

「ビッグ・ヒーロー6」は、AIと人間の感情的な繋がりも描いています。ベイマックスは、主人公ヒロの心のケアを行い、成長を促しました。これは、高度なAIが社会に浸透する未来において、人間らしい共感や感情のやり取りがAIに求められる可能性を示唆しています。ベイマックスの「人間へのケア」という概念は、現代のパーソナライズド医療や予防医療の重要性とも重なります。

ベイマックスのデザインは、親しみやすさと機能性を両立させるために工夫されています。丸みを帯びたフォルムや、感情豊かに変化する瞳は、人間からの恐怖心を和らげ、安心感を与えるように設計されており、AIのデザインにおける心理的側面への配慮がうかがえます。2014年の公開から十数年。あのファンが思い描いた「mRNAを見張るベイマックス」は、まったくの空想とも言い切れなくなってきました。物語のロボットを、現実の医療が追いかけている——そんな逆転が、静かに起きているのかもしれません。


関連記事


参考にした情報源: reddit.com

コメント

タイトルとURLをコピーしました