机に貼るあの黄色い付箋。生まれたきっかけは、失敗した接着剤でした。1968年、3M社の研究者スペンサー・シルバーさんは、強力な接着剤を作ろうとして、まるで逆のものを生んでしまいます。よくくっつくのに、するりとはがれて跡も残らない。用途が思いつきません。
面白いのは、ここからの粘りです。彼はこの接着剤を「問題のない解決策」と呼びながら、社内で売り込み続けました。廊下で捕まえては説明し、社内セミナーまで開いて。それでも賛同者は現れないまま、5年ほどが過ぎます。
賛美歌集から落ちる、しおり
転機は1974年ごろ。同じ3Mのアート・フライさんは、教会の聖歌隊で歌うとき、賛美歌集に挟んだ紙のしおりが何度も落ちるのに苛立っていました。そこで、以前聴いたあの接着剤を思い出します。塗って貼れば落ちない、と。
ただ、本当の発見はその先にありました。試作したしおりで上司とメモをやり取りするうちに、これは「しおり」ではなく「伝言を貼る道具」だと気づいたんです。1977年に試験販売した時は売れませんでした。ところが翌年、中身を変えないまま無料で配ってみると、受け取った人の9割超が「買う」と答えます。使ってみるまで、何に使うものか分からない商品だったわけですね。全米発売は1980年。発明から12年が経っていました。
ではなぜ、あの色なのか。「白い紙に映えるから」といった説明を聞くことがありますが、開発を率いた人によれば、そんな検討は一切していないそうです。隣の研究室にたまたま黄色い余り紙があった、それだけ。ちなみに接着剤の特許は1997年に切れています。それでも他社が完全には真似できないのは、3Mがあの黄色そのものを商標として登録しているからです。
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参考にした情報源: invent.org


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