「ペンギン」は、絶滅した別の鳥の名前だった

生き物・自然

ペンギンという名前。もともとは、南極の鳥のものではありませんでした。北大西洋にいた飛べない海鳥、オオウミガラスを指す言葉だったんです。

1570年代、この鳥はすでに penguin と呼ばれていました。やがて船乗りたちが南半球へ出て、同じように飛べず、同じように直立して泳ぐ鳥に出会います。似ているから、同じ名で呼んだ。それが今のペンギンです。

ところが本家のほうは、名前だけを残して姿を消しました。羽毛や食用、さらには標本目当ての乱獲が続き、1844年6月3日、アイスランド沖のエルデイ島で確認された最後の2羽が殺されます。いま世界に残るのは、皮の標本が78点、卵が約75点、全身骨格が24点だけです。学名の Pinguinus impennis に、ペンギンの名がそのまま残っています。

「白い頭」なのに、頭は黒い

語源はどうかというと、じつは決着していません。よく言われるのはウェールズ語の「白い頭」説で、有力な辞書も採っています。ただ困ったことに、オオウミガラスの頭は黒いんです。白いのは繁殖期に目の上へ出る斑だけ。ラテン語の「脂の乗った」から来たという別説もあり、ある語源学者はこう言い切っています。ペンギン以外は全部宙に浮いている、と。

ちなみに両者は、近い親戚ですらありません。オオウミガラスはウミスズメの仲間で、いまのペンギンとは目のレベルで別系統。似ているのは、同じ暮らしに合わせて別々に姿を寄せた結果です。

最後にひとつ。1844年に殺された2羽は、その後ばらばらになりました。内臓はコペンハーゲンに残り、雄の皮はブリュッセルで見つかり、雌の皮は行方知れずのまま。2025年、古いDNAの解析で、その雌がシンシナティの博物館にいると判明しました。塩基配列に、一文字の違いもなかったそうです。


参考にした情報源: en.wikipedia.org

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