あの歪んだ文字は、古新聞を読まされていた

テクノロジー

ウェブサイトで「あなたはロボットではありませんか」と聞かれ、歪んだ文字を打たされた記憶はありませんか。あの作業、単なる関門ではありませんでした。私たちは知らないうちに、古い本や新聞を解読する手伝いをさせられていたんです。

仕組みが巧妙でした。2007年に始まった「reCAPTCHA」では、たいてい2つの単語が並んで表示されます。片方は、答えが分かっている検査用の単語。もう片方は、古い紙面をスキャンしたけれど、文字認識ソフトがどうしても読めなかった単語です。しかも2つはランダムな順で並ぶので、どちらが試験でどちらが本番か、こちらには分かりません。褪せた古い印刷物では、ソフトはおよそ2割の単語を読み落とします。そこを人間が埋めていたわけですね。

プロの書き起こしと、ほぼ互角だった

驚くのは、その精度です。研究チームは2008年、科学誌サイエンスに結果を発表しました。ニューヨーク・タイムズの古い記事から2万4080語を選び、プロの転記者2人に手で書き起こさせて「正解」を用意し、突き合わせたんです。文字認識ソフト単体の正解率は83.5%。それに対しreCAPTCHAは99.1%でした。

さらに面白いのはここ。その「正解」を作ったプロの書き起こしにも、189語の誤りがありました。reCAPTCHA側の誤りは216語。つまり、世界中の見知らぬ他人がイライラしながら打ち込んだ結果は、お金を払って雇った専門職とほぼ互角だったわけです。稼働1年で解読された単語は4億4000万語を超え、本にすると1万7600冊分に相当したといいます。

皮肉な結末もあります。2014年、グーグル自身の人工知能が、最難関の歪んだ文字を99.8%の精度で解いてしまいました。人間が読み方を教えてやった技術が、人間を見分ける試験を突破する側に回ったわけですね。文字入力のreCAPTCHAは2018年に役目を終えました。


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参考にした情報源: cs.cmu.edu

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