夜空が暗い理由を言い当てたのは、天文学者ではなく小説家だった

科学

夜空はなぜ暗いのでしょうか。当たり前すぎて疑問にすら思わないかもしれませんが、これは天文学史に残る、れっきとした謎でした。もし宇宙が無限に広く、星が一様に散らばっていて、時間的に変化しないとしたら、どの方向を見ても視線の先には必ずどこかの星の表面があるはずです。理屈のうえでは、夜空全体が太陽の表面なみに明るく輝いていないとおかしいことになります。

この矛盾は、19世紀のドイツの天文学者ハインリヒ・オルバースが1823年に論文にまとめたことから、彼の名を取って「オルバースのパラドックス」と呼ばれています。ただし、オルバース自身が示した答えは、実は間違っていました。彼は「宇宙空間に薄い塵やガスがあって、遠くの星の光を吸収しているのだろう」と説明しましたが、これは物理的に成り立ちません。光を吸収し続ければ、その塵自体が熱を帯びて、いずれ星と同じ明るさで光り出してしまうからです。

答えに近づいたのは、小説家だった

正しい説明にかなり近いところまで先に踏み込んでいたのは、意外にも天文学者ではなく、作家のエドガー・アラン・ポーでした。1848年、亡くなる1年8ヶ月ほど前に発表した長編評論「ユリイカ」の中で、ポーはこう論じています。望遠鏡で見える星と星の隙間が暗いのは、その先にある星々からの光が、あまりに遠すぎて「まだ一切届いていない」からだ、と。宇宙の年齢が有限であれば、どんなに星が詰まっていても、遠すぎる光はまだ地球にたどり着いていない――これは、現代の標準的な説明とほぼ同じ発想です。

もっとも、ポー自身は「ユリイカ」を厳密な科学書としてではなく、美しさのための作品だと序文で断っており、同時代の評価はさんざんなものでした。友人に絶縁されたり、宗教への冒涜と非難されたり、文芸誌には「推測という高尚な芸」と皮肉られたりしています。ところが1984年、天文学者エドワード・ハリソンが学術誌サイエンスに寄せた論文で、この一節を「パラドックスへの定性的に正しい先駆的洞察」として再評価しました。アインシュタインも後年、この作品を「並外れて独立した精神による美しい達成」と評したと伝えられています。

それでも、最初に問うたのはポーではない

公平のために付け加えると、この謎に気づいたのはポーが最初ではありません。1610年にはヨハネス・ケプラーが、1720年にはエドモンド・ハレーが、それぞれ関連する議論を残しています。そして数式を使って初めてきちんと解決したのも、ポーではなく、1901年のケルヴィン卿でした。現在の標準的な説明では、宇宙の年齢が有限(約138億年)であることが主な理由で、光速が有限である以上、それより遠い光源からの光はまだ届いていない。加えて、宇宙膨張による赤方偏移も、光を弱める副次的な要因とされています。謎が最初に指摘されてから、現在の形で決着するまで、実に400年近くかかった計算になります。


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参考にした情報源: en.wikipedia.org

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