1971年、ARPANETという実験用ネットワークの画面に、こんな文字が現れました。「I’M THE CREEPER: CATCH ME IF YOU CAN(捕まえてみろ)」。作ったのはBBN社のボブ・トーマスさん。マシンからマシンへと勝手に移っていく、史上初の自己増殖プログラム「Creeper」でした。
じつは最初の版は、増えてはいませんでした。新しいマシンに移ると、元のマシンからは消える。ただの「引っ越し」です。それを、複製しながら広がる本物の自己増殖版に作り替えたのが、レイ・トムリンソンさんでした。あのメールの「@」を考えた人物です。
捕まえるために、同じ手口を使った
問題は、この増殖版が思いのほか手に負えなかったこと。そこでトムリンソンさんは1972年、Reaperという別のプログラムを書きます。ネットワーク上を動き回りながらCreeperを見つけ出し、消して回る。つまり、暴走を止めるために、暴走するプログラムと同じ手口を使ったわけです。これが世界初のウイルス対策ソフトと呼ばれています。作ったのも、追われる側を作ったのも、同じ人物でした。
ただし当時、「ウイルス」という言葉自体がまだありません。コンピュータの世界にこの語が登場するのは1983年、南カリフォルニア大学のフレッド・コーエンが発表してからです。しかも名付けたのはコーエン本人ではなく、指導教員のレナード・エーデルマン。CreeperもReaperも、後づけの分類で言えば「ウイルス」ではなく、宿主を必要としない「ワーム」にあたります。
本格的な商用アンチウイルス製品が並ぶのは1987年ごろ。ジョン・マカフィーのVirusScanなど、複数の製品がほぼ同時に登場しました。あの捕まえっこから数えると、実に15年後のことです。
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参考にした情報源: en.wikipedia.org


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