Wi-Fiは、何の略でもありません

テクノロジー

「Wi-Fi」は何の略か、ご存じでしょうか。ワイヤレス・フィデリティ(Wireless Fidelity)——そう習った人もいるかもしれません。じつはこれ、間違いです。Wi-Fiは何の略でもない、ただの商品名なんです。

この名前が生まれたのは1999年。当時、この無線技術の正式名称は「IEEE 802.11b」という、暗記する気も失せるような記号でした。これでは誰にも広まらない。そこで業界団体は、ブランド作りの専門会社インターブランドに名づけを依頼します。出てきた候補は十数個。スカイブリッジ、トーチライト、ドラゴンフライ、そしてトラピーズ(空中ブランコ)……。

投票で1位だったのは、別の名前

面白いのは、理事会の投票で最も票を集めたのが「Wi-Fi」ではなく「トラピーズ」だったこと。Wi-Fiは同点2位でした。それが逆転できたのは、あの陰陽のような黒白のロゴとの相性が買われたからだそうです。あと一歩で私たちは今、「トラピーズのパスワード教えて」と言っていたかもしれません。

名前の音は、高音質オーディオを指す「Hi-Fi」に似せてあります。中身に意味はなく、響きだけを借りたわけですね。ところが困ったことが起きました。団体の中に「意味のない名前なんて使えない」と怖がる人たちがいて、妥協として「The Standard for Wireless Fidelity」という説明文を添えてしまったんです。これが誤解の出どころでした。当時この命名を主導した人物は、あれは失敗だった、ブランドを薄めただけだったと振り返っています。説明文は後に取り下げられましたが、「Wireless Fidelityの略」という思い込みだけが世界中に残りました。

ちなみに権威ある英語辞典も、この解釈をはっきり「後付けの偽り」と切り捨てています。


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参考にした情報源: oed.com

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