宇宙ペンの話は、ほぼ全部が作り話だった

科学

こんな話を聞いたことはありませんか。「NASAは無重力でも書けるペンの開発に巨額を投じた。一方ソ連は、鉛筆を使った」。官僚的な無駄遣いをからかう小話として、よく引き合いに出されます。ところがこれ、ほとんどが事実ではありません。NASAは、そのペンの開発費を1ドルも出していないんです。

開発したのは、ポール・フィッシャーという実業家。自分の会社で、自費で作りました。完成品をNASAに売り込み、厳しい試験を経てようやく採用された、という順序です。NASAは公式サイトで、この俗説をはっきり否定しています。買った本数は約400本。1本あたり数ドルですから、総額でも数千ドル規模でした。

ソ連も、同じペンを買った

オチはここからです。1969年2月、ソ連もフィッシャーの会社からペンを100本購入しています。しかもNASAとまったく同じ、まとめ買いの割引価格で。鉛筆で通したわけではなかったんですね。

そもそも宇宙で鉛筆が敬遠されたのには理由があります。折れた芯が無重力の船内を漂い、目や機器に入りかねない。しかも黒鉛は電気を通すので、精密機器のショートが心配される。木も黒鉛も燃えます。1967年、地上試験中の火災で3人の宇宙飛行士が亡くなった事故を経て、船内の燃えるものは徹底的に見直されました。

面白いのは、「無駄遣い」の実体が別にあったこと。NASAは1965年、宇宙用のシャープペンシルを34本、1本あたり約129ドルで発注し、こちらは当時ちゃんと批判されています。高くついたのは、ペンではなく鉛筆のほうだったわけですね。


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参考にした情報源: nasa.gov

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