古い組織ほど、新しい技術に弱い——そう思われがちです。ところが、何百年も続いてきた修道院が、むしろデジタル化に柔軟に対応している。チューリッヒ大学の研究チームが、そんな意外な事実を明らかにしました。
研究では、スイス・ドイツ・オーストリアにある112の修道院を分析しました。修道院といえば、外界から距離を置き、変化とは無縁の場所というイメージがあります。しかし調べてみると、多くの修道院がウェブサイトやSNSを使いこなし、デジタル技術と上手につきあっていたのです。
カギを握っていたのは、皮肉にも「古さ」でした。修道院には、物事をみんなで話し合って決める、それぞれの持ち場に責任を持つ、決定を一か所に集中させない——そうした共同体の仕組みが、何世紀も前から根づいています。研究者によれば、この分権的な意思決定の文化が、新しい技術を取り入れるときにも役立っているというのです。
もちろん、すべての修道院が諸手を挙げてデジタルを歓迎しているわけではありません。とくに歴史の古い修道会では、インターネットやSNSが、祈りと静寂の日課への「侵入」と受け止められることもあります。だからこそ彼らは、信仰の役に立つ場面を選んで、慎重に技術を使うのです。
新しいものに飛びつくでもなく、頑なに拒むでもなく。500年の時間が育てた知恵が、デジタルとのちょうどいい距離を測っているのかもしれません。
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