Linuxでゲームをする人の間で、長く言われてきたことがあります。「画面を描く新しい仕組みのWaylandは、古いX11より反応が重い。だからX11を使え」。でも、それを実際に“測った”人は、ほとんどいませんでした。
ドイツの開発者マルコ・ネットさんは、2026年7月、その通説を確かめる装置を自作しました。モニターに小さな光センサーを貼り、パソコンがマウスのクリック信号を送った瞬間から、画面が実際に光るまでの時間を測る。人間の体感ではなく、機械の目で遅延をつかまえる仕掛けです。1回のクリックごとに、約24マイクロ秒おきに1万2000回も明るさを記録するそうです。
通説は、ほぼ気のせいだった
結果は意外でした。確かにX11のほうがわずかに速い。でもその差は、たったの0.14〜0.22ミリ秒。普通の60Hzモニターが画面を1回書き換える時間が約16.7ミリ秒ですから、その100分の1ほどです。とても体で感じられる差ではありません。「Waylandは重い」という感覚は、ほぼ気のせいだったわけですね。
むしろ効いたのは別の要素でした。画面の書き換えを絵の描画に合わせる「可変リフレッシュレート」(ゲーマーにはFreeSyncやG-SYNCでおなじみの技術)を入れると、0.26〜0.45ミリ秒ほど速くなり、しかも遅延のばらつきまで小さくなった。あれこれ改善しても、稼げる時間は合計0.7ミリ秒ほどでした。
ネットさんは、はんだ付けから基板の設計、3Dプリントのケースまで、一人で作り上げました。「Waylandは遅い」というひと言を、自作の測定器で0.1ミリ秒の精度まで分解してみせた。数字は小さいけれど、通説を鵜呑みにせず自分で測る——その姿勢のほうが、よほど鮮やかです。
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参考にした情報源: marco-nett.de


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