AIがナスカで倍増させたのは、ハチドリではなく「生首」だった

ミステリー

ナスカの地上絵といえば、ハチドリやサル、コンドル。空から見ないと分からない、巨大な線画のイメージがあります。ところが2024年、AIを使った探索で新たに見つかった303点の地上絵には、そうした有名な「線タイプ」は1点も含まれていませんでした。

調査したのは、山形大学の坂井正人教授らのチームとIBMの共同研究です。2022年9月からの約6ヶ月間で、それまで知られていた具象的な地上絵430点に対し、303点を新発見。ほぼ倍増させたこの成果は、2024年9月に米国科学アカデミー紀要(PNAS)に発表されました。

見つかったのは、平均9メートルの小さな絵

新発見の303点はすべて「面タイプ」と呼ばれる別種の地上絵でした。有名な線タイプが平均90メートルもあるのに対し、面タイプは平均わずか9メートル。10分の1です。そして内訳が強烈でした。斬首された頭部が149点、人型が90点、家畜のリャマなどが10点、野生動物はわずか9点。新発見のほぼ半分が「生首」のモチーフだったんです。

線タイプの地上絵は野生動物が6割以上を占め、巨大な幾何学模様のネットワークの近くに配置されていて、共同体レベルの儀礼に使われたと考えられています。一方の面タイプは、曲がりくねった古代の小道から平均43メートルの位置にあり、個人や小集団が作り、歩きながら見るものだったようです。2025年7月に発表された追加調査ではさらに248点が見つかり、小道ごとに一貫したテーマがあることも判明しました。ある小道は人身供犠、別の小道は野生の鳥、また別の小道は家畜、といった具合です。宇宙人向けの巨大なサインどころか、歩行者向けの沿道の看板だった、というわけですね。

AIの「当たり」は、36回に1回だった

ただしこの成果、AIが自動で見つけてくれたわけではありません。AIが提示した候補は47,410件。これを人間が1,200時間かけて目視し、有望と判断できたのは1,309件でした。当たりは36回に1回の計算です。さらにそこから341地点を実際に砂漠で歩いて確認するのに1,440時間。合計2,640時間かけて、ようやく303点にたどり着いています。しかも303点のうちAIが個別に提案していたのは178点で、59点はAIとは無関係に現地調査中に見つかったものでした。

発見のペースは、1940年代から2000年代までが年1.5点、リモートセンシングが使えるようになった2004年以降が年18.7点。論文はこれをさらに16倍に加速させたとしています。とはいえ、AIが出した有望候補のうち968件は、今も未踏査のまま残っているそうです。ちなみに山形大学は2012年からペルー・ナスカ市に研究所を構えており、ペルー政府から地上絵の研究と保護を託された、世界で唯一の大学だそうです。


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参考にした情報源: pnas.org

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