無限の広がり、ノートに描く

アート

街の片隅にある古びた文房具店。その片隅に、ひっそりと置かれたノートがあります。表紙には何も書かれていませんが、開いてみると、そこはまるで無限に広がるキャンバスのようでした。

これは「非ユークリッド幾何学の無限キャンバスノート」と呼ばれるものです。私たちが普段慣れ親しんでいる、まっすぐな線や平行線がいつまでも交わらないユークリッド幾何学とは違う、不思議な空間を表現するためのノートなんです。

例えば、ポアンカレの円盤モデル。これは、円盤の「端っこ」に近づくほど、空間が無限に引き伸ばされていくイメージです。円盤の境界線が「無限遠」にあたり、そこへ向かうほど距離がどんどん長くなる。描けば描くほど、紙の端に近づくほど、描かれる図形は小さくなっていき、まるで宇宙の果てを覗き込んでいるような感覚になるんです。

この考え方は、1880年頃にアンリ・ポアンカレという数学者によって整理されました。私たちが「まっすぐ」だと思っているものが、実は曲がった空間の「直線」だったりする。そんな、常識をちょっとだけ超えた世界が、このノートには広がっているのです。

M.C.エッシャーの作品にも、このポアンカレ円盤モデルで描かれたような、規則的でありながらもどこか不思議なタイリング(敷き詰め図)が見られます。彼の「Circle Limit IV (Heaven and Hell)」なんて、まさにそんな世界観。描かれた鳥や天使は、円盤の縁に近づくほど小さくなっていきます。

「無限」という言葉を聞くと、どこか掴みどころがないように感じてしまいますよね。でも、このノートを開いてみると、その「無限」が、驚くほど身近なものに感じられるから不思議です。文字通り、無限の可能性がそこにある、そんな気がしました。

ノートの端に、ふと引いた一本の線。それは、どこまでも続いていくのかもしれません。


【関連動画をYouTubeでチェック】

最新の映像や解説動画がアップロードされています。

▶️ 「非ユークリッド幾何学とは」の関連動画一覧 (YouTubeサイトへ移動します)


関連記事

コメント

タイトルとURLをコピーしました