夜の帳が降りると、東南アジアの古い伝承に語られる「クラーシュー」は、その姿を恐ろしいものへと変えます。それは、なんと空中に浮遊する女性の生首となり、ぶら下がる内臓を揺らしながら、獲物を求めて夜の闇をさまようというのです。
クラーシューは、昼間はごく普通の人間として暮らしていると信じられています。しかし日が沈むと、その本性を現します。狙うのは特定の誰かというより、家畜やニワトリの血と内臓。血が得られなければ、糞や腐肉まで漁るともいわれます。地域や伝承によっては出産時の血や胎盤を狙うとされ、妊婦や生まれたての赤ん坊が警戒の対象になりました。この「昼と夜の二重生活」が、日常と隣り合わせの恐怖を人々に与えてきたのです。
じつは「空飛ぶ生首」の妖怪は、東南アジアの広い範囲で語られています。ただし、これらは同じ一つの存在というより、近いけれど別々の伝承の一族です。タイのクラーシュー、ラオスのカスー、カンボジアのアプ、マレーシアのペナンガラン、インドネシア・バリのレヤック——名前も細部も違いますが、「夜に飛ぶ女の生首」という核のイメージだけは、不思議と共通しています。
もちろん、人々は身を守るすべも語り継いできました。よく知られるのは、トゲのある植物——パンダナス(アダンの仲間)や竹、パイナップルの葉——を家のまわりや床下にめぐらせること。垂れ下がった内臓が引っかかるからだといいます。火や朝日にも弱く、夜明けまでに胴体へ戻れないと滅びてしまう。隠された胴体を見つけて壊す、という退治法も伝わります。地域ごとに少しずつ違うのが、口承の妖怪らしいところです。
現代でも、インターネット上のフォーラムではクラーシューに関する体験談や考察が語られています。その異様な姿は、人々の想像力を掻き立て、今もなお、夜の闇に潜む恐怖として語り継がれているのです。
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参考にした情報源: reddit.com


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